後々トラブルに巻き込まれないための「賃貸借契約書」のチェックポイントを解説します。

こんにちは。代表弁護士の山本です。

オフィスや店舗を借りるとき、賃貸人や管理会社から提示された「賃貸借契約書」に押印するように求められると思います。
しかし、どういうところに気を付けて契約書を見たらいいのか中々難しいですよね。

そこで今日は「賃貸借契約書」のチェックポイントをわかりやすく解説します。

この記事は、「契約書なんていちいちじっくり読んでる時間ないよ」という方を対象に、後々トラブルになりやすい「最低限ここはチェックしておきたいポイント」を掴んでいただけるような内容を目指しています。
したがって、細かい議論の正確性や網羅性より、ザックリとしたわかりやすさを重視しています。

実際に契約書をチェックする際には、ぜひ弁護士に相談してみることをお勧めします。

前置きが長くなりましたが、早速チェックポイントを見ていきましょう。

1. 大きく分けると3つのポイントに分解できる

賃貸借契約書は、大きく分けると3つのポイントに分解できます。

  • 契約期間・更新
  • 使用中のルール
  • 契約終了時

それぞれ、詳しく見ていきましょう。

2. 「契約期間・更新」に関するチェックポイント

オフィス・店舗として物件を借りる場合、契約期間は非常に重要です。
しかし、結構落とし穴が潜んでいたりします。「事業を継続したいのに退去しなければならない」とか、逆に「移転に伴い退去したいが中途解約できない」といったトラブルに巻き込まれないよう、次のポイントには特に注意することをお勧めします。

  • 「定期賃貸借契約」かそうでないか
    まずは契約書のタイトルや冒頭などが「定期賃貸借契約」となっていないか確認しましょう。
    「定期賃貸借契約」とそうでない通常の賃貸借契約の最大の違いは、「更新が予定されているか否か」です。
    定期賃貸借契約には「更新」はありません。契約期間5年の定期賃貸借契約は5年経てば終了となります。(その後も継続を望むのであれば、再契約が必要になります。)
    これに対し通常の賃貸借契約は、借主側が継続を望む限り同じ条件で更新され続けることが原則です。
    そのため、実は契約期間5年の定期賃貸借契約よりも、契約期間1年の通常の賃貸借契約の方が長く借りられる可能性が高いんです。
    その分、定期賃貸借契約は相場より賃料が安いなどのメリットがあることも多いですが、「更新がない契約であること」をよく理解しないまま定期賃貸借契約を結んでしまうと後々泣きを見ることになりかねません。
    将来の事業プランなどを見据えて本当に「定期賃貸借契約」でいいのか、よく吟味しましょう。
  • 「中途解約」は可能となっているか、違約金はいくらか
    逆に、様々な事情から契約期間中に「中途解約」をしたいと考える場面が出てくるかもしれません。
    しかし、賃貸借契約書で「中途解約が可能であること」が明確に記載されていなければ原則として中途解約はできません
    そのため、まずは「中途解約」あるいは「解約」といった条項が定められているかをきちんと確認しましょう。
    そのうえで、大抵の場合、中途解約する際には「賃料の●ヶ月分を支払う」という条項(違約金条項)が定められています。
    場合によっては賃貸人と交渉して違約金を引き下げてもらったりできる場合もありますし、少なくとも中途解約時のコストとして正確に把握しておかなければならない部分なので、この点もしっかり確認しておきましょう。
3. 「使用中のルール」に関するチェックポイント

物件の使用中にどんな制限やルールがあるか、修繕はどちらが行うのかについてもよく確認しておきましょう。
以下、ポイントを絞って解説します。

  • 「使用目的・方法」に関するルール
    オフィスや店舗として賃貸借契約を結ぶ際、契約書にも事業内容が記載されることが一般的です。
    そして大抵の場合、無断で当初の事業内容と異なる事業を営んではならないという条項が定められています。
    その他、無断で改造を行ってはならない、無断で共用部分に看板を置いてはならない等、使用目的や方法についてルールが決められています。
    「禁止事項」などの条項がそれに当たります。賃貸人との無用なトラブルを避けるためにも、よくよく確認しておきましょう。かつ、想定している使用方法と異なる点があればきちんとそのことを伝え、契約書の修正を求めましょう。
  • 「修繕」に関する取り決め
    壁・天井・床など専用部分の汚損・破損については、借主側が修繕費用を負担すると定められていることも多いです。
    しかし、原則として修繕義務は賃貸人側にあります。建物全体や共用部分のみならず、壁、天井、床など専用部分についても同様です。あくまでも原則なので契約書で借主側が修繕費用を負担すると定めることは可能ですが、絶対に負担しなければならない費用ではありません。
    修繕をどちらが行うことになっているか、契約書の「修繕」の条項を見てよく確認しましょう。締結してしまった後では契約書の定めに従うしかなくなりますので、過大な修繕費用負担が見込まれる場合は必ず締結前に交渉し、条件変更を求めましょう。
4. 「契約終了時」に関するチェックポイント

契約終了時にトラブルになりやすいのは「原状回復」です。
「思いもよらない高額な原状回復費用を請求された」などは非常によくあるトラブルです。そうならないために、賃貸借契約書のどこをチェックすれば良いか解説します。

  • 「原状回復」がどのように定義されているか?
    借主側が設置した設備や造作を撤去することは原状回復の内容に含まれます。
    これに加えて汚損や破損した箇所の修復までが原状回復の内容に含まれていることも多いです。年数の経過による劣化(経年劣化)や通常の使用に伴う損傷(通常損耗)は本来原状回復の内容には含まれないのですが、事業用の賃貸借契約書ではその修復まで求められることが多いようです。
    この点も場合によっては交渉の余地があるかもしれませんし、退去時のコスト感を持っておくためにも重要なので、「明渡し」「原状回復」の条項をきちんと確認しておきましょう。また、契約時の状態を正確に共有するため、写真などを残しておくことも有効です。
  • 原状回復工事業者が指定されていないか?
    また、「原状回復工事は賃貸人が指定した業者に行わせなければならない」という条項が入っていることがあります。
    後々、高額な工事費用を請求されたが、他の業者に頼むこともできないので払わざるを得なかったというトラブルをしばしば目にします。この条項が入っていたら要注意なので、訂正を求めることも検討しましょう。

いかがだったでしょうか?

オフィスや店舗を借りる際に、少しでもお役に立てればうれしいです。

もちろん、このほかにも注意すべきポイントはありますし、紹介したポイントでも解説を省略した点もあるので、実際に契約を結ぶ際はぜひ弁護士に相談してみることをお勧めします。

それでは今日はこの辺で。

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