新規事業で避けて通れない「業法」の見方・向き合い方
新規事業を起こすとき、避けては通れないの
が「業法」と呼ばれるもの。
これは「こういう事業を行うなら、官庁から許可を取ったり届出をしないとダメですよ」
というような法律の総称。
飲食店を開業するなら「食品衛生法」、
中古自動車などの古物を販売するなら「古物営業法」、
職業紹介事業をするなら「職業安定法」、
といった具合。
本来なら許可や免許が必要だったのに取得していなかったという場合、
最悪刑事罰が科されるケースすらある。
そのため、検討している事業が何かの「業法」に当たらないかの検討は必須。
で、新規事業検討時は、次のように考えるのがオススメ。
⑴ 「業法一覧」などと検索すれば現行の業法が出てくるので、
関係がありそうなものをピックアップする。
⑵ その法律の「定義」という条文(だいたい2条とか頭の方にある)を見る。
そうすると「●●業」の定義が書いてある。
⑶ 考えている事業が「●●業」に当たるかを検討する。
所管行政庁が「ガイドライン」や「Q&A」を出していることが多いので、それも参考にする。
⑷ 分からなければ所管行政庁に電話して問い合わせる。割と丁寧に教えてくれる。
とはいえ、実際には判断に迷うケースも多い。
特に「マッチングビジネス」はとてもシビアな判断が必要となる。
例えば、求人者と求職者をつなぐマッチングサイトを作るとする。
関係するのは職業安定法。
職業安定法の定義規定(2条)には、職業紹介とは
「求人者と求職者との雇用契約の成立をあっせんすること」とある。
つまり、マッチングサイト事業が
「求人者と求職者との雇用契約の成立をあっせん」にあたると判断されれば、
職業紹介事業の許可を取らないと違法ということになる。
でも、何をどこまでしたら「あっせん」になるのか、
どこまでは許可を取らずに行っていいのか、という判断は非常に難しい。
似たような議論は色んな業種に存在していて、
許可を申請すべきなのか、せずに事業を始めるのかという点は
常に頭を悩ませるポイントとなる。
最終的には、許認可のハードルの高さも考慮して判断することになるが、
もし「許可不要の事業」だと判断して運営していくのであっても、
「こういう理由で○○業には当たらないんだ」という理屈をきちんと整理しておくことは必要。
でないと、後々もし監督官庁から指摘を受けたときに、反論の材料すらないことになる。
これでは「悪質な無免許事業」と認定されるリスクが跳ね上がってしまう。
また、スタート時にせっかく理屈を整理しても、
結局●●業に当たる行為をしてしまっていることもある。
つまりマネジメントが疎かになってしまうケース。
そうならないためにも、整理した理屈を契約書、利用規約、
社内ルールに落とし込んで、きちんと運用していくことも必要。
なんでもそうだけど、一度考えて決めたら終わり、というわけではなく、
その後それを継続していけるかということもとても大切。
ルールなど「見える化」することはとても効果的なので、試してみてはどうでしょうか。
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