【起業家・経営者向け】裁判って、どんなことをするの?~支払ってもらえないお金を回収するまで~①

職業柄、「裁判」に関するご依頼を頂くことが多いのですが、

クライアントから、

「裁判って、こんな感じで進むんですね。全然イメージと違いました。」

と言われることが多々あります。

しかし、プロとして裁判のお仕事を引き受けているのに、
肝心の「裁判」の姿をお伝えできていないというのは、いかなるものか。

また、クライアントである事業者の方にとっても、

「『裁判』がどのように進むのか、どのくらい時間がかかるのか」

を知らないということは、

「取引先・顧客から代金を支払ってもらえないときにどうなるのか」

ということを、正しく把握出来ているとは言えないのではないでしょうか。

そこで、今回は、架空の事例を使って、
「裁判がどのように進むか」
をご説明したいと思います。

3回に分けて、

① 「裁判」って何? ~ 第1回期日が決まるまで

② 裁判の期日では、何をするの?

③ 証人尋問と、判決が出るまで

の順に、ご紹介していきます。

そもそも「裁判」って?

一口に「裁判」と言っても、様々な種類があります。


代表的なものを挙げれば、

「刑事訴訟」「民事訴訟」
があります。

刑事訴訟というのは、
「〇〇さんは窃盗罪で懲役××年」
という、「刑罰」を決めるための裁判です。

元アイドルグループのメンバーが飲酒運転で…とかありましたね。
あれは刑事訴訟のお話です。

他方、民事訴訟と言うのは、
人と人との間のトラブルを解決するための手続です。

例えば最近だと、
某ゲーム会社が、公道でキャラクターの衣装を貸し出してカートを運転させるサービスを提供していた事業者を、損害賠償を求めて訴えたり、
芸能人が、週刊誌の記事が「名誉毀損」だとして慰謝料を求めて訴えたり、
とかありましたよね。

こういう、「損害賠償」だとか「慰謝料」だとか、主に
「相手にお金を支払ってもらうよう請求する」

というのが、「民事訴訟」の話です。
 

なので、代金を払ってもらえないとか、損害賠償を求めたいというような場合は、

「民事訴訟」を利用することになります。

そこで今回は、この「民事訴訟」がどのように進むか、ご紹介します。

裁判はどうやって始めるの?

ある日、XさんはYさんに、200万円を貸しました。
ところが、約束の期日を過ぎても、いつまで経っても返済がありません。

そこでXさんは、Yさんに裁判(民事訴訟)を起こそうと決意し、弁護士に依頼しました。

Xさんは、平成31年11月7日、大阪地方裁判所に、
「YさんはXさんに200万円を支払え」という訴えを書いた書面を提出します。

この書面を、「訴状(そじょう)」と言います。

「訴状」を提出することが、民事訴訟の出発点です。


訴状には、「200万円はYさんに貸したものだ」というXさんの主張を詳しくまとめ、
同時に、それを裏付ける証拠を提出します。

Xさんの訴状は無事に裁判所に受理され、いよいよ民事訴訟が始まります。


なお、訴えを起こしたXさんは、裁判の手続の中では「原告(げんこく)」と呼ばれ、
起こされたYさんは、「被告(ひこく)」と呼ばれることになります。

1回目の裁判期日はいつになるの?

Xさんが提出した「訴状」に不備がないか、裁判所により審査された上、
不備がなければ、いよいよ第1回の期日が決まります。

ところで、1回目の期日って、いつぐらいになると思いますか?



実は、訴状提出から通常1ケ月程度、長い時では2ケ月程度空くこともあります(!)。

「何でそんなに先になるの?」
と思いませんか?

これには理由があります。

被告(訴えられた人)が準備できる時間を確保しよう」

ということです。

Xさんが裁判所に提出した「訴状」は、裁判所から、

特殊な郵便によって被告Yさんに郵送されます。
(これを訴状の「送達(そうたつ)」と言います。)

Yさんからしてみれば、ある日突然、裁判所から、
「Xさんから訴訟が提起されました。期日は12月21日に行われます。」
という通知が来るわけです。

しかも、もしYさんが訴状を無視して、12月21日の期日にも行かなかった場合、
Yさんは、例え訴状の内容が事実無根でも、問答無用で敗訴してしまいます。
(もし裁判所から「訴状」が届いたという方は、どんなに事実と異なる内容だろうと、

決して「無視」だけはしないで下さい。)

なので、第1回期日までに被告に準備(主に弁護士の選任)の時間を与えよう、ということで、
緩めのスケジュールが組まれるわけです。

今回は、12月21日に第1回期日が行われることになりました。

それまでの間、Xさんは、Yさんの出方を伺いつつ、期日を待つことになります。

第1回期日前夜

さて、裁判所から訴状を受け取ったYさんですが、

Xさんの言い分を読んで、このように思いました。

「Xさんの言ってることは嘘だ!200万円は返さなくていいと言ったはずだ!」

そこで、Yさんは、今回の裁判に応戦しようと考え、

早速弁護士に相談し、今回の裁判の対応を依頼することにしました。

期日が1週間後に迫ったYさん側は、12月14日、
「答弁書(とうべんしょ)」
という書面を裁判所とXさん側に提出します。

果たして、その内容は――――
 

と言うところで、今回はここまでということにしたいと思います。

次回、いよいよ裁判の期日に、裁判所で何をするのかをご紹介しますので、

よければご覧下さい。

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