「商標権」でブランドを守る!~競合・パクリへの対策③~【起業家・創業者向け】
前回は、「コンサル・コーチング」や「教室・サロンビジネス」の強みである
「ノウハウ」「アイデア」
「新規性・独自性」「専門性(特定の顧客層)」
などについては、「著作権」では守備として不十分というお話をしました。
今回は、これらの「強み」をどのように権利化して守っていくか、
という点について解説していきます。
結論から言うと、「商標権」を取得することが
一つの有効なアプローチになります。
つまり、自社コンテンツに「サービス名称」や「ロゴ」=「商標」
をつけて、それを権利にしてしまうということです。
では、なぜ「名称」や「ロゴ」を権利化することが、
コンテンツの「強み」を守ることになるのでしょうか。
★「商標権」の機能を理解しよう
「商標権」は「ブランド」を守るための権利である、と言われます。
「ブランド」には様々な定義がありますが、
競合他社との「識別力」を指すものとされることが多いと思います。
「他社にはない独自のノウハウ、スキルがある」
「強い専門性を持っている」
といったコンテンツの「強み」は、そのままでは目に見えませんよね。
そこで、「サービスの名称」「ロゴ」といった「トレードマーク」
を付けることにより、「トレードマーク」を通して
顧客に「強み」を識別してもらえるようにするわけです。
「商標権」は、この「名称」「ロゴ」といったものに
独占的な権利を与える仕組みです。
つまり、競合他社は、登録商標と同じ名称や類似する名称を使うことができなくなります。
まとめると、
①「この分野では『●●』という名称のサービスがNo.1だよね」
というイメージを持ってもらうこと
②「●●」という名称を使用する権利を独占すること
によってコンテンツの「強み」を守ろう、というのが「商標権」の機能です。
ただし、以下の注意点があります。
今までにお伝えしたところからもお分かりいただけるかと思いますが、
「商標権」自体は「名称」や「ロゴ」の使用を独占する権利にすぎません。
①のとおり、「『●●』がNo.1」というイメージがあって初めて、
他社サービスとの強力な「識別力」を持つ「商標」になります。
このようなイメージを持ってもらうための
マーケティング・ブランディングは必要不可欠です。
また、「商標登録」が完了したからと言ってそれで終わり、ではいけません。
「商標権」は「使わないと消える」のです。
これは比喩でもなんでもありません。
商標の「普通名称化」と言って、あまりにも広く商標(名称)が使われた結果、
商標権の効力が及ばなくなる=誰でも自由に使ってよい
という決まりが商標法にあります。
有名な例として、「正露丸」「うどんすき」が挙げられます。
実は、これらの名称はいずれも商標登録されています。
しかし、あまりにも広く名称が普及した結果、
普通名称化し、商標権が及ばなくなったと裁判所で判断されているのです。
これを防ぐためには、
まずはHPなどで商標登録されていることを積極的にアピールしていく必要があります。
なおかつ、自社の商標が勝手に使用されていないかを定期的に監視し、
発見した場合には「使用停止」や「訂正」を求めていく、という作業も必要です。
このような、「商標登録」「商標権の管理」は、専門的な知見・経験が必要となります。
他社とのやり取り・交渉等も必要となりますので、
ぜひ弁護士の力を活用して頂きたい場面です。
また、「商標」にはもう一つの機能があります。
「商標」がコンテンツの「独自性・強み」と結びつけば、
「商標を使わせてあげる」というマネタイズポイントが出てくる、という点です。
例えば「認定講師制度」や「フランチャイズ化」をする際には、
「商標を使わせてあげる」ことが大きな価値になり、
ライセンス料、加盟料、ロイヤルティを確保することに繋がります。
いいことづくめに思える「商標権」ですが、
当然、「費用と時間」はかかってしまいます。
まだビジネスがうまくいくかわからない段階で、
「商標出願が~」と言われても、気が引けてしまうお気持ちはわかります。
もちろん、商標権は取得すべきです。
特に、何度か実際にクライアントに提供し、検証する中で、
「これは行けそうだ」と「ビビッと来る瞬間」があると思うのですが、
その感覚が来た時点で、商標を取得することを検討した方がいいと思います。
ただ、実は他にもう一つ、
「パクリ」を防ぐために必要な、しかもとても大切なアプローチがあります。
意外に思われるかもしれませんが、それは
「契約書」
をきちんと作っておくことなのです。
この点については、次回に解説したいと思います。
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